特別支援学校で3,192教室が足りない|うちの子の学校は大丈夫?文科省調査を正直に整理
長男(8歳・重度知的障害)は、特別支援学校の小学部に通っています。
教室に入って思うのは、「ここって、ちょっと狭くないかな?」ということ。
クラスメイトと先生、机、車椅子、教材で、こじんまりした教室がいっぱい。
そして、もう一つ気になっていたこと。
同じ学年の他のクラスが、隣の教室ではなく離れた場所にあるんです。
「同じ学年なのに、なんで近くにないんだろう?」と最初は不思議でした。
最近、それを裏付けるニュースがありました。
文部科学省が2026年4月に公表した調査で、全国の公立特別支援学校で「3,192教室が足りない」ことが明らかになったのです。
「うちの学校だけじゃなかった」と思ったのと同時に、「日本全体でこんな状況なのか」とちょっと衝撃を受けたので、数字をしっかり整理してみました。
まず、衝撃の全体像
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 調査時点 | 2025年10月1日 |
| 公表 | 2026年4月10日(文部科学省) |
| 全国の公立特別支援学校 | 1,132校 |
| 不足している教室の合計 | 3,192教室 |
| 教室不足がある都道府県 | 45都道府県 |
| 不足がない都道府県 | 2県(鳥取県・高知県) |
| 前回(2023年10月)からの変化 | -167教室(少しだけ改善) |
3,192教室。
1教室30〜40㎡として、合計で東京ドーム約2.4個分の床面積が足りていない計算です。
そして、不足している学校は、ほぼ全国の都道府県にひろがっています。
ソース:公立特別支援学校における教室不足調査の結果について|文部科学省
学部別の不足数を見てみる
特別支援学校は、幼稚部・小学部・中学部・高等部があります。
そのどこで一番足りていないか?
| 学部 | 不足している教室数 |
|---|---|
| 小学部 | 1,218(全体の38%) |
| 中学部 | 776 |
| 高等部 | 682 |
| 特別教室(理科室・音楽室など) | 510 |
| 幼稚部 | 6 |
うちの長男も通っている小学部が、いちばん足りていません。
小学部で1,218教室不足。これは、平均すると1都道府県あたり約26教室、つまり大規模な学校3〜4校分が足りないというイメージです。
現場ではどう対応している?
教室がないからといって、子どもたちを受け入れないわけにはいきません。
実際にどう対応しているか、その内訳がこちらです。
| 対応方法 | 教室数 |
|---|---|
| 特別教室(音楽室・理科室など)を普通教室に転用 | 2,020 |
| 教室を間仕切りで2つに分ける | 1,837 |
| 借用教室・仮設プレハブの活用 | 1,353 |
| 管理諸室(職員室隣の部屋など)を転用 | 440 |
| 倉庫・準備室を教室にする | 207 |
| 体育館・廊下を間仕切って使う | 58 |
特別教室を普通教室にしてしまうと、音楽の授業や理科の実験ができにくくなります。
廊下や体育館まで仕切られている学校がある、というのもなかなか衝撃でした。
うちの学校で気づいたこと
冒頭にも書きましたが、長男の学校では、同じ学年のクラス同士が隣の教室になっていません。
校舎の空いているところに、各クラスが分散して配置されている感じ。
これは推測ですが、おそらく「空いている部屋から順番に使っている」ためだと思います。
普通の小学校だと、1年1組と1年2組が隣の教室、というのが当たり前の風景。
特別支援学校ではそういう普通の配置すらできない学校がある、というのが現場のリアルです。
担任の先生同士の連携も、教室が離れていると一手間増えてしまいます。
児童生徒数は今も増え続けている
これがいちばん重要なポイントだと感じました。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 2025年度 在籍児童生徒数 | 155,170人 |
| 前年度比 | +3,742人 |
| 2025年度 学級数 | 38,172学級 |
| 前年度比 | +581学級 |
毎年4,000人近く、特別支援学校の児童生徒が増えています。
学校や教室の整備は、何年もかけて準備するものです。
需要が増えるスピードに、整備が追いついていない。それが3,192教室不足の正体です。
都道府県別、不足が多いトップ4
| 都道府県 | 不足教室数 |
|---|---|
| 東京都 | 458 |
| 千葉県 | 271 |
| 埼玉県 | 254 |
| 福岡県 | 215 |
首都圏に集中していますが、地方都市の福岡県も上位に入っています。
人口が多いところほど、当然不足も大きい。
一方、不足ゼロは鳥取県と高知県の2県だけです。
ソース:公立特別支援学校の教室不足、45都道府県で3,192教室|先端教育オンライン
設置基準を満たしている学校は何割?
実は2023年4月に、特別支援学校にも初めて「設置基準」というルールができました。
校舎の面積や運動場の広さなど、「最低限これくらいは必要」という基準です。
ただし、すでに建っている学校への適用はゆるやかにする「経過措置」がついています。
その基準を満たしている学校は、いま全体の何割か?
| 基準項目 | 充足している学校数 | 割合 |
|---|---|---|
| 校舎面積 | 779校 / 1,132校 | 68.8% |
| 運動場面積 | 647校 / 1,132校 | 57.2% |
校舎の広さで基準を満たしているのは7割ほど。
運動場に至っては、半分強しか基準を満たしていません。
体を動かす機会が大事な子どもたちにとって、これは見過ごせない数字です。
なぜこんなことになっているのか
文科省や有識者が挙げる主な理由は、こんなことが考えられます。
- 発達障害や知的障害の認知が広まり、特別支援学校に通うことを選ぶ家庭が増えた
- 早期発見・早期療育が進み、就学相談で特別支援学校を選択するケースが増加
- 学校の新設・増設は予算と時間がかかるため、需要の伸びに追いつかない
- 特別支援教育を担う教員の確保も追いついていない
「障害のある子どもへの支援が広まる」のはいいことです。
でも、その受け皿(学校・教員・予算)の整備が追いついていない、という構造問題が見えてきます。
文科省の対策:2025〜2027年度の集中取組期間
文科省も、この問題には本腰を入れて取り組もうとしています。
2025〜2027年度を「集中取組期間」として、各都道府県教育委員会に教室不足解消の「集中取組計画」の着実な実施を求める通知を発出。空き教室を改修する場合の補助率を上げる支援策も実施中。
簡単にいえば、「3年間で集中して整備しよう」と国が音頭をとっている状態です。
ただし、児童生徒数の増加ペースを考えると、3年間でどれだけ追いつけるかは未知数です。
親として、何をチェックしておくべきか
ニュースを読んで、親としてできることを考えました。
1. うちの子の学校の状況を聞いてみる
授業参観や個別懇談のときに、担任の先生に「うちの学校は教室は足りていますか?」とさりげなく聞いてみる。
「実は…」という話が聞ける可能性があります。
2. 就学相談のときに「教室の状況」も聞く
これから就学相談を受ける家庭の方は、特別支援学校だけでなく特別支援学級の選択肢もあると思います。
その判断材料の一つとして「学校の収容状況」も確認しておくと、入学後のミスマッチを減らせます。
3. 自治体の整備計画を確認する
お住まいの都道府県の教育委員会のサイトで「特別支援学校整備計画」のような文書が公開されていることがあります。
「うちの地域では、何年後に新校が予定されているか」がわかります。
4. 私たちの声を出していく
国の整備計画は、利用者の声が後押しになります。
「うちの子の学校はこんな状況です」というリアルを、SNS・ブログ・地域の議員へ届けていくことに意味があります。
このブログもそのひとつのつもりで書いています。
まとめ
- 全国の公立特別支援学校で3,192教室が不足(2026年4月文科省発表)
- 不足が多いのは東京・千葉・埼玉・福岡。鳥取と高知の2県のみ不足なし
- 特に小学部が深刻(不足の38%)
- 特別教室や倉庫・廊下まで普通教室に転用して対応中
- 児童生徒数は毎年約4,000人増加。整備が追いつかない構造問題
- 2025〜2027年度を集中取組期間として国も対策中
- 親としては、学校の状況確認・就学相談での情報収集・声を出していくことが大事
長男が通う学校が「ちょっと狭い」と感じていたのは、私の気のせいではなかった。
これは全国共通の課題だったのだなと、改めて知りました。
整備が追いつくまで、子どもたちが少しでも快適に過ごせるよう、現場の先生方が踏ん張ってくれていることに感謝しつつ、私たち親も状況をきちんと見ていきたいですね。
本記事の制度・数字は2026年5月時点の情報をもとにしています。最新情報は文部科学省・各都道府県教育委員会の発表をご確認ください。
ソースまとめ
- 公立特別支援学校における教室不足調査の結果について(令和7年10月1日現在)|文部科学省
- 公立特別支援学校の教室不足、45都道府県で3,192教室|先端教育オンライン
- 特別支援学校で3192教室が不足|福祉新聞Web