障害のある子の福祉、お金が足りなくなりそう?財務省のニュースを小学生にもわかるように解説
ニュースを見て、ちょっとドキッとしました。
「財務省、障害福祉の費用抑制求める」
ざっくり言うと、国の財布を管理している財務省が「障害がある人のための福祉のお金が増えすぎているから、減らしていきたい」と言いはじめた、というニュースです。
うちは長男(8歳・重度知的障害)が放課後等デイサービスを使っています。
「これから、サービスが減ったり費用が上がったりするのかな?」と心配になったので、ちゃんと中身を確認してみました。
子どもでもわかるように、ニュースの中身と私の感じたことを、正直にまとめます。
ニュースの中身を一言でいうと
財務省は4月28日の会議で、こう言いました。
障害福祉のサービスにかかるお金が、10年で約2倍に増えました。これは増えすぎなので、ペースを落としましょう。
ソース:財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会(2026年4月28日)
「お金がかかりすぎているから抑えたい」という話です。
数字① お金は10年でいくら増えた?
まず、いちばん大きな数字。障害福祉サービスの総費用です。
障害福祉サービス総費用の推移
| 年度 | 総費用額 | 10年前との比 |
|---|---|---|
| 2015年度 | 約2.0兆円 | — |
| 2024年度 | 4.2兆円 | 約2.1倍(+2.2兆円) |
| 2024年度(障害児サービス含む) | 5.1兆円 | 約2倍以上 |
4兆2,000億円って、ピンとこないですよね。
1日に直すと約115億円、1秒で約13万円。1秒に1人分の高級時計を買えるくらいのお金が、誰かの障害福祉サービスのために使われている計算です。
お金は誰が払っているの?
意外と知られていないのが、誰がそのお金を出しているか、です。
| 出している人 | 割合 | 金額(2024年度) |
|---|---|---|
| 国(国庫) | 50% | 2.1兆円 |
| 都道府県・市町村(地方) | 50% | 2.1兆円 |
| 利用者本人(自己負担) | 0.3% | 0.03兆円 |
つまり、利用者が直接払っているのは1%にも満たない金額。残りはほぼ全部、税金(国と自治体)でまかなわれています。
数字② 放デイの事業所、10年で何倍に?
事業所(サービスを提供するお店)の数も大きく増えました。
児童発達支援(未就学児向け)の事業所数
| 時点 | 事業所数 | 営利法人の割合 |
|---|---|---|
| 2016年3月 | 1,438件 | 36% |
| 2025年3月 | 9,160件 | 49% |
| 増加倍率 | 約6.4倍 | +13ポイント |
放課後等デイサービス(小〜高校生向け)の事業所数
| 時点 | 事業所数 | 営利法人の割合 |
|---|---|---|
| 2016年3月 | 1,449件 | 25% |
| 2025年3月 | 5,440件 | 66% |
| 増加倍率 | 約3.8倍 | +41ポイント |
特に放課後等デイサービスは、株式会社などの「営利法人」が運営する割合が10年で41ポイントも増えました。
「ビジネスとして儲かる」と判断した会社が次々に参入してきた、ということです。
数字③ 児童発達支援にかかるお金(年度別の変化)
財務省の資料には、年度ごとの細かい数字も載っています。
児童発達支援の総費用額(年度別)
| 年度 | 総費用額 |
|---|---|
| 2015年度 | 677億円 |
| 2017年度 | 923億円 |
| 2019年度 | 1,140億円 |
| 2021年度 | 1,708億円 |
| 2023年度 | 2,395億円 |
| 2024年度 | 2,732億円 |
2015年→2024年で、約4倍に増えています。
放課後等デイサービスも同じくらいのペースで増えていて、2024年度は約4,030億円規模になりました。
数字④ 事業所は儲かっているの?
ニュースでよく出てくる「収支差率」という言葉。
これは「事業所がどれくらい儲かっているか」を表す数字です。
収支差率の比較(2024年度)
| 種類 | 収支差率 |
|---|---|
| 中小企業(参考:一般のお店) | 約3.8% |
| 障害福祉サービス全体の平均 | 4.6% |
| 児童発達支援(全体平均) | 7.6% |
| 放課後等デイサービス(全体平均) | 6.0% |
| 児童発達支援(営利法人だけ) | 9.1% |
| 放課後等デイ(営利法人だけ) | 7.6% |
一般の中小企業の収支差率と比べると、児童発達支援や放デイは2〜2.4倍ほど儲かっている計算になります。
もっと注目すべき数字:就労継続支援B型
財務省が特に問題視しているのが、こちらです。
就労継続支援B型(利用時間別)の収支差率
| 平均利用時間 | 収支差率 |
|---|---|
| 2時間未満 | 22.0% |
| 2〜3時間 | 17.2% |
| 3〜4時間 | 15.4% |
| 4〜5時間 | 9.9% |
| 5〜6時間 | 7.9% |
| 6時間以上 | 7.1% |
利用時間が短いほど儲かっている、というデータ。財務省は「時間が短いのにこんなに儲かるのは制度のゆがみでは?」と問題視しています。
数字⑤ どの種類のサービスに営利企業が増えた?
財務省の資料には、サービスごとに営利企業(株式会社など)が何倍に増えたかも載っています。
営利企業の参入倍率(2016年3月との比較)
| サービス | 営利企業の増加倍率 |
|---|---|
| グループホーム | 12.01倍 |
| 就労継続支援B型 | 6.92倍 |
| 生活介護 | 3.45倍 |
| 居宅介護 | 1.36倍 |
| 重度訪問介護 | 1.20倍 |
| 施設入所支援 | 0.00倍(減少) |
特にグループホームは10年で12倍。
「ビジネスとして儲かる分野」と「あまり儲からない分野」がはっきり分かれている、ということがわかります。
ソース:福祉新聞WEB「財務省、障害福祉の費用抑制求める」(Yahoo!ニュース)
数字⑥ 質のチェックは追いついている?
事業所が4倍・6倍と増えているのに対して、自治体が行う運営指導(チェック)は追いついていません。
運営指導の実施率
| サービス | 実施率 |
|---|---|
| 全体平均 | 16.3〜18.8% |
| グループホーム | 31.6% |
| 放課後等デイ | 12.2% |
厚生労働省は本来「3年に1回はチェックする」という指針を出していますが、それに追いついていない状況です。
そして虐待の件数も増えています。
障害福祉サービスでの虐待件数
| 年 | 件数 |
|---|---|
| 2014年 | 311件 |
| 2024年 | 1,267件 |
| 10年での増加 | 約4.1倍 |
事業所の数の増え方とほぼ同じペースで、虐待の件数も増えてしまっています。
数字⑦ ニュースで話題になった大規模不正
つい最近、こんな事件もありました。
2026年3月27日、大阪市で就労移行支援に関する不正請求が発覚。
不正に請求された金額は約111億円。272名の利用者が関わる、過去最大規模の不正請求でした。
「お店が儲かりすぎる仕組み」が、こうした不正にもつながっている可能性があります。
なぜお金が増えたのか?理由は3つ
財務省は、お金が増えた理由として3つを挙げています。
- 障害福祉サービスを使う人の数が増えた
- ひとり当たりにかかるお金が高くなった
- 営利事業者(株式会社など)の参入が増えた
特に3番目がポイントです。
「儲かるからお店が増える → 全体の支出が膨らむ」という流れになっています。
私たち利用者にとっては、悪い話だけ?
正直に書くと、この話は片面だけ見るとよくありません。
しかし、両側を見るとちょっと違ってきます。
心配な面
- 国がお金を抑えたいと言っているので、将来的に利用料が上がる可能性はゼロではない
- 報酬体系が見直されると、儲かりにくくなった事業所が撤退するケースが出るかもしれない
- 配置基準(スタッフの人数ルール)が厳しくなれば、運営できなくなる事業所も出る
良い面もある
- 質の悪い事業所(とりあえず預かるだけ、療育の中身がない)がふるい落とされる可能性
- 真面目にやっている事業所が評価されやすくなる方向
- 「儲かるから」という理由だけで参入してきた事業所が減れば、本当に必要な家庭に行き渡りやすくなる
私としては「制度をちゃんと回すための見直しは必要」と思っています。
ただし、いきなり利用者の負担が増えるような形にはなってほしくない。それが本音です。
親としてどう備える?
ニュースを受けて、私が考えたことを書きます。
今すぐ何かが変わるわけではない
これは「会議で議論された」という段階です。実際に制度が変わるとしても、2027年度以降の調整で動きが出てくる可能性が高いと思います。
慌てる必要はないです。
通っているデイの「質」を改めて見てみる
報酬体系の見直しで、「質を細かく評価する」と財務省は言っています。
「ただ預かるだけ」の施設より、「療育・支援の中身がしっかりしている」施設の方が、これからは残りやすくなる可能性があります。
うちが通っているデイは、子どもにとって何をしてくれているか。それを改めて見てみる機会にしました。
国の動きをアンテナを張って追う
放課後等デイサービスや児童発達支援は、3年に1回くらいのペースで「報酬改定」というルール見直しがあります。
次の改定で何が変わるか、利用者として把握しておくと安心です。
まとめ:怖がらず、知っておくこと
このニュースを読んで一番大事だと思ったのは、「知らないままでいない」ということです。
国は今、福祉のお金の使い方を考え直そうとしています。
その中で、私たちの子どもが使うサービスがどうなるか。
利用者の声が届かないと、机の上だけで決まってしまう可能性もあります。
「どんな見直しをしてほしいか」「使っている側として何に困っているか」を、SNSやブログでもいい、声を出していくことに意味があると思いました。
子どもの福祉は、私たち親の声がつくっていきます。
このブログも、その小さなひとつになれたらいいなと思って書いています。
ソースまとめ
- 福祉新聞WEB「財務省、障害福祉の費用抑制求める 10年で約2倍に拡大〈財政審〉」(Yahoo!ニュース)
- 財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会(2026年4月28日 開催資料一覧)
- 財政審 障害福祉資料PDF(同会議の提出資料)
本記事は2026年5月時点で公開されている報道・政府資料を基に書いています。数字は財務省 財政制度等審議会 財政制度分科会(2026年4月28日)の資料から引用しました。今後の制度変更については最新情報をご確認ください。
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