うちの子を見てくれてる先生の給料を調べたら、全産業平均より月7万7千円低かった
結論から言います。
障害福祉の現場で働く人の給料は、全産業の平均より月7万7千円低い。
厚生労働省が出している資料の数字です。
うちの長男(8歳・重度知的障害)は、放課後等デイサービス(以下:放デイ)に通っています。毎日連絡帳に「今日はこんなことをしました」と書いてくれて、写真まで送ってくれる。偏食の長男がスープを口にしている写真が届いたときは、正直、泣きそうになりました。
その先生たちの給料の話です。
正直、知らなかった…。
きっかけは、2026年7月21日に国が閣議決定した「骨太の方針2026」というニュースでした。そこに障害福祉の処遇改善が書き込まれた、と。
先に立場を書いておきます。私は支援を受けている側の、ただの保護者です。福祉の現場で働いたことはありません。だからこそ、知らないままではいけないと思って調べました。
まず、いくらなのか
厚労省の資料に、こういう比較表があります。
| 年 | 障害福祉関係分野の職員 | 全産業平均(役職者を除く) | 差 |
|---|---|---|---|
| 令和6年(2024年) | 30.8万円 | 38.6万円 | 7.8万円 |
| 令和7年(2025年) | 31.9万円 | 39.6万円 | 7.7万円 |
賞与込みの月額です。
去年より1.1万円上がっている。上がってはいるんです。
でも全産業平均も同じくらい上がっているので、差はほとんど縮まっていません。7.8万円 → 7.7万円。1000円だけ。
注:この「障害福祉関係分野の職員」という数字は、厚労省が「保育士」「訪問介護従事者」「介護職員」の3つを加重平均して出した試算値です。障害福祉の職員そのものを直接調べた統計ではなく、近い職種から推計した数値、という位置づけになります。
年収に直すと、ざっくり90万円前後の差。
10年で900万円…。
計算していて、手が止まりました😔
「処遇改善加算」がある事業所は、もう少し上
もう一つ数字があります。
処遇改善加算という、職員の給料を上げるための加算があります。これを取っている事業所の常勤職員に限ると、こうです。
| 時点 | 平均給与額 |
|---|---|
| 2024年9月 | 316,370円 |
| 2025年7月 | 333,340円 |
1年弱で16,970円アップ。率にすると5.4%です。
これは素直にすごい。ちゃんと上がっています。
注意:この33万円という数字は「処遇改善加算を取得している事業所の、常勤の福祉・介護職員」に限った平均です。障害福祉で働く人全体の平均ではありません。パート・非常勤の方や、加算を取っていない事業所は含まれていない数字です。
つまり、上がってはいる。でも全産業平均との7万7千円の差は、まだ埋まっていない。
これが2026年7月時点の現在地です。
7月21日、国が決めたこと
ここで冒頭のニュースに戻ります。
2026年7月21日、政府が「骨太の方針2026」を閣議決定しました。
そもそも骨太の方針って何?
わが家でいう「今年は洗濯機を買い替えるぞ」と決める家族会議のようなものです。
国が「来年はここにお金を使うぞ」という大まかな方向を、毎年決める。それが骨太の方針。
大事なのはここ。
家族会議で決まっただけで、まだ買ってない。
実際にお金が動くのは、年末の予算編成です。
で、何が書かれたのか
障害福祉について、こう書かれています。
次期介護報酬・障害福祉サービス等報酬改定では、(中略)介護・障害福祉分野の賃上げの状況や介護・障害福祉サービス等事業者の経営状況等を把握した上で、補装具費支給基準額も含め、物価の変動に適切に対応するとともに、他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る。
出典:経済財政運営と改革の基本方針2026(内閣府) 本文28ページ
「他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る」。
国の公式文書に、この一文が入った。
え、じゃあ給料上がるの?
ここ、大事なところなので正確に書きます。
答えは「まだ決まっていない」です。
よく読むと「次期報酬改定では」と書いてあります。次期というのは令和9年度(2027年度)の改定のこと。
つまり、
- 決まったのは方向であって、金額ではない
- 実際の金額が決まるのは、令和9年度の報酬改定
- その議論はこれから本格化する
ということ。
「骨太の方針で処遇改善が決まった」と書いてある記事を見かけたら、そこは少し違います。決まったのは方針です。
じゃあ何も進んでないの?→ 進んではいます
いえ、実はもう動いています。
2026年6月から、障害福祉サービスの報酬が臨時で改定されました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 改定率 | +1.84% |
| 国の予算 | +313億円 |
| 賃上げの水準 | 障害福祉従事者は月1.0万円、福祉・介護職員は定期昇給込みで月最大1.9万円が可能な水準 |
厚生労働大臣が会見でそう説明しています。
これは3年ごとの定期改定ではなく、「臨時応急的な見直し」という位置づけ。つまり待ちきれずに前倒しでやった、ということです。
なので流れとしては、
- 2026年6月:臨時で+1.84%の賃上げ(実施済み)
- 2026年7月:骨太の方針に「他職種と遜色のないレベルに」と明記
- 令和9年度:本格的な報酬改定で、金額が決まる
ここまで来ている、という状況です。
ちなみに同じ2026年6月の改定では、一部のサービスで新規事業所の報酬が下がる見直しも入っています。今通っている事業所には影響しない話なんですが、誤解されやすいところなので別記事にまとめました。
→ 2026年6月から、新しい放課後等デイサービスが開設されにくくなる
それでも、感謝だけで終わらせたくない
ここからは、数字ではなく私の気持ちの話です。
うちの長男は、こだわりが強くて、パニックになることもあります。食べられるものも限られている。
その全部を、放デイの先生たちは受け止めてくれています。
だから感謝しかない。本当にありがとうございます、と思っています。
でも。
「安い給料なのに頑張ってくれてありがとう」で終わらせたら、それはたぶん、違うんです。
感謝は、給料の代わりにはならない。
先生たちの生活も、ご家族も、将来もある。「やりがいがあるからいいでしょう」で埋めていい差ではないと思うんです。
支援を受けている側だからこそ、こう言いたい。
感謝しています。だからこそ、気持ちではなく制度でちゃんと上げてほしい。
7万7千円の差は、現場の頑張りで埋めるものじゃない。国が是正するものです。
骨太の方針に書かれた一文は、その一歩目。まだ一歩目です。
私たちが今日できること
制度の話をしてきましたが、保護者にできることは正直、多くありません。
なので1つだけ。
次の送迎のとき、先生に「いつもありがとうございます」と言ってみませんか。
給料の話をしておいて最後がこれか、と思われるかもしれません😅
でも、実際にできることってこれくらいなんです。そして先生たちが辞めずに続けてくれる理由の一つに、たぶん、これがある。
それともう一つ。
この記事を読んでくださっている方は、少なからず障害のある方に関わりがあったり、支援を受けていたりする方だと思います。
だからこそ、自分たちにどんな影響があって、それがどうやって決まっているのか。
そこに少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
その入り口として、令和9年度の報酬改定のニュースだけは追いかけておくこと。次に金額が決まるのはそこなので。
このブログでも制度が動いたら書きます。
まとめ
- 障害福祉の現場で働く人の給料は、全産業平均より月7万7千円低い(令和7年・厚労省試算)
- 処遇改善加算を取っている事業所の常勤職員は、2025年7月時点で平均333,340円。1年弱で5.4%アップ
- 2026年6月に臨時改定で+1.84%(月1万円の賃上げ水準)が実施済み
- 2026年7月21日、骨太の方針2026に「他職種と遜色のない処遇改善の実現を図る」と明記
- ただし対象は令和9年度の報酬改定。金額はまだ決まっていない
先生たちの給料の話は、遠い制度の話に見えて、結局「うちの子を見てくれる人が、来年もいてくれるか」の話でした。
知っておくだけでも、送迎のときの「ありがとうございます」の重みが、少し変わる気がします🌱
本記事の数字・日付は2026年7月時点の公表情報にもとづいています。制度は今後変わる可能性があるため、最新情報は厚生労働省・内閣府の発表をご確認ください。
出典まとめ
- 経済財政運営と改革の基本方針2026 全文PDF(内閣府)
- 骨太の方針2026 閣議決定ページ(内閣府)
- 第55回 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム 資料(厚生労働省)
- 第48回 障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(厚生労働省)
- 令和8年度障害福祉サービス等報酬改定について(厚生労働省)
- 上野厚生労働大臣会見概要 令和7年12月24日(厚生労働省)
- 特集 令和8年度 社会保障関係予算のポイント(財務省)
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