2026年6月から、新しい放課後等デイサービスが開設されにくくなる|既存事業所の選び方を改めて考えた
「2026年6月から、障害福祉サービスの報酬が見直されるらしい」
ニュースで読んで、最初は何のことか分かりませんでした。
長男(8歳・重度知的障害)が放課後等デイサービス(以下:放デイ)を利用しているので、自分にどう関係するのか調べてみたら、結構大事な話だったので整理します。
まず結論:「新しい放デイ」だけ報酬が下がる
ニュースの要点を一言でいうと、こうなります。
2026年6月以降に新規指定を受ける児童発達支援・放課後等デイサービス・グループホーム・就労継続支援B型の事業所は、基本報酬が引き下げられる。すでに運営中の事業所はこれまで通り。
つまり、
- 今すでに通っているデイ:変わらない(安心)
- これから新しく作られるデイ:報酬が下がる(参入しにくくなる)
ということです。
なぜ新規事業所だけ報酬を下げるのか
国が「お金がかかりすぎている」と判断したからです。
数字で見ると、はっきりわかります。
障害福祉サービス費用の推移
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 2024年度(令和6年度)の総費用 | 約4兆1,800億円 |
| 前年度比 | +12.1% |
| 19年間での増加 | 約4倍 |
毎年12%増えていく。これがずっと続くと、国の財布が持たない。
特に大きく伸びているのが、今回見直し対象になった4つのサービスです。
改定対象の4サービス
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 児童発達支援 | 未就学児向け |
| 放課後等デイサービス | 小〜高校生向け |
| グループホーム(日中サービス支援型・介護サービス包括型) | 障害のある方の住まい |
| 就労継続支援B型 | 障害者の就労支援 |
ここで重要なのが、4サービスは「儲かりすぎている」と判断されている点です。
4サービスの収支差率と事業所伸び率
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 4サービスの収支差率 | 5.1〜9.1% |
| 4サービスの事業所数の伸び率(過去3年) | 6.63〜26.65% |
| 一般中小企業の平均収支差率(参考) | 約3.8% |
| 就労継続支援B型の年間総費用の伸び | +1,052億円(+20.1%) |
要するに、
- 一般のお店より儲かっている
- 事業所が次々に増えている
- 国の支出がどんどん膨らんでいる
この状態を国が「これ以上は持続できない」と判断したわけです。
国が今回やる「線引き」
今回の見直しは、3つの条件を全部満たすサービスが対象になります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① | 障害福祉サービス全体の年間総費用に占める割合が1%以上 |
| ② | 2024年度(令和6年度)の収支差率が5%以上 |
| ③ | 過去3年間ともに事業所の伸び率が5%以上 |
この3条件にすべて当てはまったのが、先ほどの4サービス。
つまり「規模が大きくて」「儲かっていて」「事業所が急増している」サービスにだけ、ブレーキをかけるという仕組みです。
ソース:障害報酬、B型など4サービス減 新規事業所限定で〈厚労省方針〉|福祉新聞Web
利用者の親として、ここが大事
「新しいデイの報酬が下がる」と言われても、利用者の立場ではピンと来ないかもしれません。
私が調べていて感じた、親としての影響を整理します。
影響① 近所に新しいデイができにくくなる可能性
新規事業所だけ報酬が下がる、ということは、新しく参入する事業者にとって採算が取りづらくなります。
つまり、
- 今待機児童状態のエリアで、新しいデイができる動きが鈍る
- 「家から遠いけど、空いてるのはここだけ」という状況が増える
可能性があります。
影響② 既存事業所の質がより重要になる
新しいデイが増えにくいなら、今あるデイをどう選ぶかが、これまで以上に大事になります。
そして親としても、
- このデイは本当に子どもにとって良い場所か
- 中身(療育・支援)はしっかりしているか
- スタッフは長く続けられそうか
を見極める目線が、これまで以上に必要です。
影響③ 質の悪い事業所がふるい落とされる可能性
これは前向きな面もあります。
「とりあえず預かるだけ」「とにかく数を増やしてきた」という事業者にとっては、参入のハードルが上がる。
結果として、「真面目に療育に取り組んでいる事業所」が相対的に評価されやすい流れに向かうかもしれません。
既存事業所選びの「私の基準」
うちの長男が通っているデイを選んだとき、見ていたポイントをあらためて整理します。
1. スタッフの定着率
何度か見学・面談に行く中で、スタッフが入れ替わっていないか。
「先生ころころ変わってます」という事業所は要注意。
2. 子どもの反応
連れていって、嫌がるか喜ぶか。
これは数字には出ません。親の感覚で判断するしかない。
3. 連絡帳・情報共有の質
うちのデイは、毎日連絡帳で「今日こんなことしました」「こんな表情でした」と教えてくれます。
写真も時々送ってくれます(先日、偏食の長男がスープを口にしている写真が届いて、感動しました)。
4. 個別支援計画の中身
「個別支援計画」って正直、形だけのケースもあると聞きます。
うちのデイは、半年ごとに具体的な目標を立てて、達成度をフィードバックしてくれる。これは安心材料です。
5. 送迎の柔軟さ
学校から直接送迎してくれるか、土曜の対応、長期休暇の利用枠など。
これは生活への影響が大きいので、最初に確認したほうがいいです。
「お金の話」だけじゃない、もうひとつの視点
今回の改定の背景には、国の財政事情があります。
でも、もっと深いところに「サービスの質を高めたい」という意図もあります。
「営利目的の事業者が次々参入する状況に対応するため、報酬体系の見直しを進めたい」
これは財務省・厚労省ともに共通する方向性です。
つまり今後の流れは、
- 数だけ増えればいい → ❌
- 質の高いサービスを残す → ◯
ここに向かっていく可能性が高い。
私たち利用者にとっても、「ただ預かってくれる場所」より「本当に子どものためになる場所」の方が良いに決まっています。
その意味では、利用者目線でも望ましい方向と言えます。
まとめ
- 2026年6月から、児童発達支援・放課後等デイ・グループホーム・就労継続支援B型の「新規事業所」の基本報酬が引き下げ
- 既存事業所は据え置きなので、今通っているデイへの影響はなし
- 新しいデイが開設されにくくなる可能性→既存事業所の質がより重要に
- 国の意図は「お金の抑制」+「質の向上」
- 親としては、通っているデイの質を改めて見直すいい機会
慌てる話ではありません。でも、「今いるデイで子どもがどんな時間を過ごしているか」を、改めて見るきっかけにはなる話です。
本記事の数字・施行日は2026年5月時点の情報をもとにしています。今後の制度変更については厚労省・各自治体の最新情報をご確認ください。
ソースまとめ
- 障害報酬、B型など4サービス減 新規事業所限定で〈厚労省方針〉|福祉新聞Web
- 賛否両論!前例のない障害福祉報酬「新規事業所の引き下げ」が2026年6月から始まる理由|AI福祉研究所
- 厚生労働省 第51回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム
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